富士山のリスクに関する多くの考え方

2013年8月4日

By: ホルヘ・サネリ博士(Dr. Jorge Zanelli

 

zanelli
ホルヘ・サネリ博士 : サンティアゴ科学研究センター
(Centro de Estudios Cientificos de Santiago)の理論物理学者

 

松村昭雄様、

 

あなたの、そう遠くない富士山の噴火可能性のリスクに関する記事を興味深く読みました。そのようなシナリオは可能性ばかりでなく、専門家によるとたいへん確率の高いことです。従って、近郊地域の住民の不必要なリスクを取り除く為の全ての措置が取られるべきです。このことは、近郊のコミュニティー、産業設備、病院、輸送と通信基本施設、その他を含みます。これら夫々には独自の特徴があり、異なるタイプの保護と安全措置を必要とします。それら全てが注意深く調査され保護されなければなりま せんが、そのリスクの組み合わせも併せて考慮され なければなりません。

 

富士山の周囲にある市町村の数は私を震撼とさせます。私は日本の土地使用計画については何も知りませんが、得られる歴史的情報からみても、原子力発電所を含む、産業施設、住宅の建築許可を下す前に十分に必要な予防措置が取られなければならなかったとは明らかです。噴火の際には非常事態計画がつくられなければなりませんが、これには市民の避難、基本的施設、危険を潜在する全ての施設の保護が含まれなければなりません。貴方の記事は噴火により引き起こされる原子力事故のリスクに注意を引いてますが、もっともな懸念です。私には、更に大きな危険は、それが原子力でも別の問題でも、非常事態を扱う合理的な計画の不足だと思われます。

 

浜岡原子力発電所という特定のケースでは、過去の運行記録はとても疑わしく、停止を勧めるのに火山噴火の危険を必要とするまでもありません。私は掘り下げては調べていませんが、この発電所の検査されないままの運行は、福島事故により放出された放射能よりも更に周辺地域への影響リスクが大きいように思われます。

 

火山噴火や他の自然災害により引き起こされる原子力事故のリスクの問題一般に話を戻すと、私は全ての原子炉を廃炉にすることだけが選択肢だとは信じていません。状況は、他の脆く潜在的に有害な産業(医薬、農薬、精油所、爆薬、肥料、重金属を生産もしくは使用する産業など)とそう違いはないのです。富士山の周囲または日本のどこであっても、この種の産業の非常事態を扱う技術が存在すると、私は確信しています。

 

一般的な問題について合理的な決定をするには、次の点を考慮しなければなりません。

 

1.その産業施設がどれくらい危険か。このことには通常操業時と事故時両面の完全なリスクの査定が必要です。

2.原子力を他の産業とどう比較するか。

3.リスクを受容可能範囲に留める事が可能か、それとも除去する事が唯一の選択肢か。

4.費用は、原子力停止の利点は、何なのか。

 

多くの資料を読んだり専門家に話をしたりしたことからの私の理解では、低照射量の放射線による脅威は、端のない仮説による誇張で、しっかりとした科学的根拠がないように思えます。

専門的事項に入らずも、特定の放射線照射量が人口の50%にガンをもたらすならば、その半分の照射量が同人口の25%で同じ影響を生じると、その端のない仮説は主張しています。この見るからに「明らかな事実」は、その微小の照射量が、大きな人口においては莫大な数の犠牲者を作るということを、もっともらしくしています。このような説に従うなら、例えば、一部の真摯な専門家(ジョン・W・ゴフマン医学博士とアーサー・R・タンプリン博士の共著「毒されたパワー」)は1979年に333人の致命的な癌または白血病がスリーマイル島事故の結果起きると予測しましたが、起きませんでした。

 

たとえ原子力業界が福島から何も学ばなかったとしても(私はそうは思いませんが)、そして地震と重なった噴火や、もしくは、津波が外部電源のない故障した原子炉の原因となったとしても、環境的インパクトと地域内住民への放射線影響は、まだ、大規模かつ直接的な天災の影響、または食物、住居、医療の不足のような他の間接的な影響と比較すると、そう多くはありません。

 

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私は、合理的なアプローチが、我々をより安定して持続可能な方向のより良い決定に導くことができると確信しています。これは通例、直感的理解の単なる名といえる「明らかな真実」からはそれる事を意味します。

 

敬具

 

J.サネリ

 

 

ホルヘ・サネリ博士は、サンティアゴ科学研究センター(Centro de Estudios Cientificos de Santiagoの理論物理学者で、チリの核オプションを評価する大統領委員会の前委員長です。

 

 

 

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翻訳:木村道子

英文オリジナル:http://akiomatsumura.com/2013/08/more-thoughts-on-mt-fuji.html

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