“サットポール、私の意見に反対なの?“ 地域的活動の為に世界的に学ぶ

2010413

By: 松

 

先月中の米国のヘルスケア政策論議に関するメディアの報道は凄まじいものでした。その結論についてはさておくとして、この報道は視聴者が米国の政治家や政治システムをよく知ることに役立ちました。そして、多くの人は失望しました。米国政治を分断する深い亀裂はあらゆるレベルにおいて苦い失望をもたらします。

 

私は国連と他の国際機関で働いた35年を通じて、米国内外を問わずたいへん多くの政治家に会う機会を得ました。そこで選挙で選ばれた指導者達のもつ潜在能力についての私の意見を述べたいと思います。おそらくは、ここ最近に私達が見たものよりはもう少し希望の持てる見方ではないかと思います。

Akio, Rep. Scheuer, former President of Costa Rica Carazo, and Senator Mittal
(左から)昭雄、ショイヤー議員、カラゾー前コスタリカ大統領、ミッタール議員

政治家は多くの特徴を共有しています。先ず、彼らの広範なグループに対する関心と係わりが重要です。だから彼らは選挙で選ばれたのです。第二は、彼らは他のセクターでは関係をつくりにくい問題についての考えや意見をうまく促進することができます。彼らの目的は三段構えで、総意を作り上げ、行動を促進し、最後に立法上の実施をすることです。彼らの特に優れたところは、それが日々の障害でも国民投票であっても、難しい挑戦を乗り越えられる彼らの持つ能力です。そこに、私は彼らのダイナミックな共感する心が非常に貴重であると考えています。政治家は別の政治家と特定し共鳴することができます。官僚筋にはこれはとても難しいことです。

 

私と妻の満喜は、私達のニューヨークの小さなアパートにとても多くの政治指導者たちを迎える機会を得てきました。これらの機会と長く続く友情を通じて政治世界から多くの識見を得ることができたことは私にとって幸運なことでした。

 

しばしば訪れてくださった方の一人は、自然資源・農業リサーチ・環境に関する下院小委員会委員長だった故ジェームス・ショイヤー議員(ニューヨーク州選出・民主党)です。議員のお母様と彼の奥様エミリーのお母様さえも訪問してくださいました。

ショイヤー下院議員と他の政治家にまつわる幾つかの話の内の一つ、強い政治家のもつ能力を暗示する話をご紹介します。多くの話は第二次世界大戦に直接かかわるもので我々がこの60年の間に克服しなければならなかった最も高い障壁についてのことです。

 

何年も前に、日本から佐藤隆衆議院議員(当時は新人議員、後に農林水産大臣)がワシントンを訪れました。彼はその昔1945年8月に神風特攻隊に任命されましたが、同15日の日本の降伏で命が助かった方です。佐藤議員がワシントンを訪れた時、私は彼に大使館員や通訳の補助なしに、ショイヤー議員の自宅に泊まることを強く薦めました。佐藤議員は英語を話せず、ショイヤー議員は日本語を話せません。両者はそのチャレンジを受けることに合意し、その結果は大きな成功でした。翌日、佐藤議員が上司の福田赳夫首相に、ショイヤー議員と過ごしたその驚くべき時間について説明していました。明らかに、佐藤議員とショイヤー議員そして奥様のエミリーは、この障壁を越える方法を見つけ出したのです。

 

ショイヤー議員のドイツ連邦議会のペーター・ペターソン議員との関係について触れることも大事だと思います。ペターセン議員と若い彼の同僚達は知れ渡るホロコーストの全体像は承知していませんでした。彼の多くの同僚達は、彼らの政府が取った行動の惨禍を知ると自殺を図ったのです。ペターセン議員はその時自殺をするのではなく、そのような事を二度と許さない為にと政治家になる道を選びました。私は彼がユダヤ人であるショイヤー議員にはじめて会った時のことを覚えています。彼らの率直で熱意のこもった議論は私を驚かせました。オープンで率直な対話の重要性と生産性。とても大切なことです。今日、このような対話は、国連や他の公式会合の場では決して見ることがありません。

 

別の機会に、ショイヤー議員はニューヨークの国連本部で記者会見をしていました。会場には彼の友人でありインドの政治指導者であるサット・ポール・ミッタール上院議員も列席していました。スピーチの途中で、ショイヤー下院議員は突然に話を止めて「サットポール。私に反対なの?」と尋ねました。返事がなかったのでショイヤー議員は話を続けました。ところが、彼はまた話を止めて「サットポール、貴方は私の言っていることに反対なのですか?」と尋ねました。私達はみんな一体何事なのかと訳がわかりませんでした。私がミッタール議員の方を見ると、彼は笑いながら頭を左右に振っていました。インドでは、これは合意のサインなのです。勿論アメリカでは違った意味を持ちます。後に、説明を受けると、彼らは大笑いでした。(ミッタール議員の子息スニール・ミッタール氏は現在世界の財界リーダーの一人であることも付け加えておきます)

 

ショイヤー下院議員が築いた佐藤議員、ペターソン議員、ミッタール議員との信頼と友情を見ていて、私は政治家は国家間の架け橋として行動できるのだということを確信しました。この4人は歴史的障壁を越えて友人になりました。政治家はポジティブな目的に使えるたいへん大きな影響力を持っているのです。

 

 

私は、米国議員が議会休会中に海外に行くことを、特にイスラム教諸国に出かけることを薦めたいと思います。私達の政治家が対話を続け個人的関係を作り上げるために努力することが肝要です。彼らが素敵なホテルに泊まろうとフランスワインを飲もうとかまいません。たとえ小旅行であっても、その場所についての個人的情と理解が築かれます。それが、緊張とミスコミュニケーションの可能性を減らすことになるのです。

 

これが政治家の持つ力です。戦争が始まると公式外交ルートでの対話は閉ざされて、両国の対話が個人的チャンネルに大きく依存することは、歴史が示しています。政治家同士の個人的関係は、滞ってしまう対話を続けて事態の最悪な状態へとの移行を防ぐことも、可能にできるのです。政治家はグローバルに学んで地元で活動しなければなりません。彼らのグローバルな見解が、彼らの地元に、また彼らの国に役立つのです。私達は結局、彼らの描く政治法律の中で生きているのですから。

 

 

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(日本語訳:木村道子)

英文オリジナル:http://akiomatsumura.com/2010/04/%E2%80%9Csat-paul-do-you-disagree-with-me%E2%80%9D-learning-globally-to-act-locally.html

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