「福島原発近くの地下水にハイレベルのストロンチウムを検出」

 

福島原発近くの地下水にハイレベルのストロンチウムを検出

(High Levels of Strontium Found in Groundwater Near Fukushima Plant)

2013年6月20日

 

 

6月18日付ニューヨークタイムズ紙の田淵広子記者による記事「福島原発近くの地下水に高レベルの放射性ストロンチウムが検出」は、TEPCOが福島第一原子力発電所で許容レベルをはるかに超えたストロンチウム90とトリチウムを検出していたことを警鐘している。

 

災害で打撃を受けた福島県の原発オペレーターである東京電力が水曜日に、発電所で地下水にハイレベルの放射性ストロンチウムを検出したことを発表。貯蔵タンクから汚染水が漏れ海水に流れ込んでいるのではないかと危ぶまれている。オペレーターによると、2011年に炉心溶融した原子炉2号基近くの地下水で日本の安全基準リミットの30倍のストロンチウム90を検出したもの。当社は発電所での増加する汚染水の貯蔵に懸命な努力を続けているが、以前には現場の地下水が毒性であることは否定していた。もし経口摂取した場合、ストロンチウム90は骨内に留まり体内で放射能を放ち、やがて癌を生じることになることがあります。

 

 

 

 

著名な原子力専門家のゴードン・エドワーズ博士(Canadian Coalition for Nuclear Responsibility理事長)がトリチウムとストロンチウム90の影響を説明して下さいました。

 

放射線の説明

 

2011年の福島第一原発災害時に、数百種の異なるタイプの放射性物質が環境に放出されました。

 

他の全ての物質と同様に放射性物質は原子からできています。ところが放射性物質の原子は不安定で、私達の普段の生活の周りにある、安定しているほとんどの物質の原子とは異なります。

 

不安定原子は特に危険です。

 

安定した原子は変化しません。永久に同じです。しかし放射性原子は、原子放射線と呼ばれる炸裂する次原子榴散弾弾子を放出しながら、突然に激しく壊変します。

 

放射能活動の単位は「1ベクレル」、放射性原子の秒毎の壊変(崩壊)を意味します。1000ベクレルとは毎秒1000の壊変が起きている、または毎時3,500,000の壊変が起きていることを意味します。

 

生細胞は壊変する原子が出す、次原子投射物の通過により傷つけられたり殺されたりします。それはおそらく3つのタイプ、アルファ、ベータ、ガンマと呼ばれる放射物のひとつです。

ガンマ放射はエックス線のようなものですが更に強力なものです。これは人間の体の中を貫通することができます。ベータ放射は全く異なるもので、これは線ではなく荷電粒子で、軟かな組織を数ミリメーター進めるだけです。アルファ放射も荷電粒子から成っていますが、これらの粒子はもっと大きく、ベータ放射よりも透過性は低いのです。

 

アルファ粒子の重さはベータ粒子の約7000倍です。アルファ粒子は紙一枚または貴方の手の表面にある死んでいる皮膚層でも止めることができます。

 

それでは放射能の危険とは何なのでしょう?

 

放射能の危険性

 

体外で主な危険は貫通するガンマ放射線です。手、足、生殖腺など、体のある部位は特に大量の照射を受けるかもしれませんが、外部のガンマ線は「全身放射線照射」を起こすことがありえるのです。

 

人が知らないうちに、汚染された空気を呼吸したり、水を飲んだり、食物を食べたりして、一度体内に放射性物質が入ると、この放射性原子は体内で壊変します。そのように吸引されたり摂取された放射性物質は「体内放出体」と呼ばれ、ガンマ線、ベータ粒子、アルファ粒子は体内で放出されて体内の細胞に直接の損傷を与えます。時折、損傷を受けた細胞は何年もあとになってがん腫になることがあります。もし生殖細胞が損傷されると、子供や孫に有害な影響のでることがあります。

 

数十年にわたり注意深く行われた調査が、体内のアルファ放射は体内のベータまたはガンマ放射より、エネルギー単位当たり約20倍多くの生物学的損傷をあたえる、ということを明らかにしています。言い換えると、体内アルファ放射を受けた一定の人々は、体内ベータもしくはガンマ放射を受けた一定の人々に比較すると、癌や遺伝的欠陥ケースの起る可能性が20倍多くある、ということです。(この係数は「生物効果比」または「RBE」と呼ばれます)

 

調査は更に、体内ベータ放射は類似するエネルギーのガンマ放射よりもより損傷を与えることを示しています。このようなケースではRBEは2乃至3以上あり、ベータ粒子がガンマ線の2乃至3倍の生物学的損傷を与えることを意味しています。

 

トリチウムとストロンチウム90は何をするか?

 

トリチウム(放射性水素に与えられてる名称)とストロンチウム90、下記に記すふたつはベータ放射性物質です。これらはガンマ線を放つことはほとんどないので、主に体内障害です。水は全ての生き物にとって不可欠なものなので、トリチウムとストロンチウム90に汚染された水は、その水を飲むどんな生物生命体の中にも活発に吸収されます。

 

ストロンチウム90は。骨や歯の形成に重要で牛乳の主要な栄養分であるカルシウムと化学的に類似しています。ですから、ストロンチウム90が体内に入ると、体はそれを骨や歯、また乳児にすぐに渡される母乳の中に躍起になって貯めようとします。ストロンチウム90はおよそ30年の半減期(放射性原子のちょうど半分が崩壊するために必要とされる時間)なので、大人であろうと乳児であろうと、ベータ放射物が何十年も汚染された人の体の骨と骨髄を照射し続けるものであると考えるのは容易です。この絶え間ない放射性被爆は骨癌と白血病(血液の癌)のリスクを増加します。

悪いことに、ストロンチウム90の放射性原子は崩壊する時、イットリウム90(別のベータ放射性物質)に変化します。イットリウム90はカルシウムとは化学的には似ていません。人体は、イットリウム90を生殖損傷が起こされる性腺を含む、体の内部の他の器官の方へと動きまわします。

 

トリチウムは放射性であるということを除けば、普通の水素と化学的に同じです。水素は、DNA分子を含む全ての有機分子の基本的な素材のひとつです。人体に吸収された放射性トリチウムのいくつかはさらに大きな有機分子の一部として「有機的化合物」になります。トリチウムの慢性被爆の長期的な医学的影響はまだよく解明されておらず、科学的論争のもととなったままです。

 

トリチウムの危険についての不確かさは、飲料水中のトリチウムの、いわゆる「許容」される濃度についての激しい論争により、強調されています。この、ジャパンタイムズ紙の記事では、福島の汚染された地下水がトリチウム濃度「一リットル当たり500,000ベクレル」、日本の’基準’1リットル当たり60,000ベクレルの8.3倍とあります。しかしカナダでは、飲料水中のトリチウムの基準は1リットル当たり7,000ベクレルで、最近のオンタリオ飲料水諮問委員会(ODWAC)報告では、この基準を更に1リットル当たり20ベクレルまで大幅に減らすべきであると結論付ける、科学的根拠を出しています。

 

ですから、福島の地下水のトリチウムレベルは日本の基準の8.3倍かもしれませんが、現存するカナダの基準の70倍、そしてODWAC科学諮問委員会の申請した基準より25000倍高いということです。

 

原子放射線の基準について驚くべきことは、基準といわれるものが現実にはいかに非基準であるかということです。その理由は単純です。原子放射線にさらされる安全レベルなどというものはないのですから、これら全ての基準は独断的な任意のものなのです

 

そして、福島の汚染水には、TEPCOや日本政府に言及されてもいない、その殆どはベータ放射物とアルファ放射物である、何十もの他の放射性物質が含まれていることを、心に留めておかなければなりません。

 

(翻訳:木村道子)

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福島原子力事故に世界が学んだものとは

ニューヨーク医学アカデミーに於いてヘレン・カルディコット財団と社会的責任を果たす医師団の共催で行われたシンポジウム「福島原発事故の医学的・生態学的影響」にて下記のスピーチを行いました。

 

福島原子力事故に世界が学んだものとは

What did the World Learn from the Fukushima Nuclear Accident?

松 村 昭 雄

2013年3月11日

 

はじめに、この時宣を得たイベントを開催して下さった、ヘレンとニューヨーク医学アカデミーに感謝の意を表します。

 

またこの機会に、福島の危険性について公衆の意識向上のために大へんな努力をなさってこられた多くの参加者の方々にも、感謝を申し上げたいと思います。原子力の領域において、科学は政治活動と連接していなければなりません。ですから、私達は今日ここにいるのです。

 

私はロンドンおよびニューヨークにて40年間、国連、その他の国際機関で働いてまいりました。数多くの国際会議に出席し、また1974年にブカレストで開催した国連人口会議をはじめとした多くの国際会議を組織してまいりました。この間、私的または公的な場において、人口、環境、社会経済、武装解除、婦人、子供、民主主義などの、二十世紀の明らかな問題について話し合ってきました。

 

ところが、私達は一つの原発事故が数百年に亘り私達の生命に影響を与えることや、使用済燃料を十万年にわたり保存できる核廃棄物貯蔵所が無いことについては、一度も話し合はなかったのです。政治システムや人権についての話し合いも、今後2万年にも亘って我々の子孫に影響を与える可能性をもつ原子力災害に比較したら、視野が狭かったように思われます。二万年です。二万年前、人類は石器時代で道具を作っていました。皆さん、想像できますか?

 

日本の政治

 

私は放射線にさらされ続ける子供たちへの増加するリスクが心配です。その多くの子供達は伝染性の疾病に苦しみ、多くが将来、甲状腺癌、肺癌、乳癌を発症することになるでしょう。ヘレンによると、百万人以上の人々がチェルノブイリ事故の結果として発症した、これらの疾病で亡くなられました。

 

私は昨年の2回の日本訪問で、不安定な原子炉の状況と子供たちの甲状腺癌のリスクについて、お会いした政党指導者諸氏に彼らの考えを尋ねました。使用済燃料について、その高レベルの放射線について、あるいは使用済燃料が破損している建物の中で地上

100フィート(30メートル)の位置に置かれていることの意味についてを、僅かの方々しか理解していませんでした。公衆衛生について考えているのは更に少数でした。

 

疑う余地なく、一部の政治家は4号基の大災害の可能性について認識しています。ところが、私が4号基がチェルノブイリが放出した量の10倍、70年前に広島の原爆が放出した量の5000倍のセシウム137の量を持つことを話すと、彼らは驚きを見せました。 福島第一にある使用済燃料は、チェルノブイリの85倍、広島の5万から10万倍のセシウムがあるということを告げた時には、彼らは驚愕を隠すことはできませんでした。私は、この重要な計算をしてくれたボブ・アルバレス氏に感謝します。私は、これを記事にしてブログで公開した時、的確なメッセージを見つけたことを知りました。この記事は、ほんの数日で百万人以上の方々に読まれたのです。先ほど話した政治指導者諸氏は、何故TEPCOからこのことについて何も聞かされていなかったのかと疑問に思っていました。

 

昨年4月、村田光平大使と私は、強力な地位である内閣官房長官職にあった藤村修代議士に面会しました。藤村官房長官は、私達からのメッセージを来る4月30日のオバマ大統領との会見前に野田総理に必ず伝えることを確約してくれました。両首脳は、私的会見の際に福島について話し合って頂けたものと思いますが、結局この災害についての独立査定チーム、また国際協力の件について、公けには言及されませんでした。

 

これは誤りです。政府の第一の責任は国民の安全にあるのです。にも拘らず、彼らは(利害のない)独立した科学者に接触しようとはせず、TEPCOにのみ相談したのです。核放射性降下物のことではなく広報宣伝の降下を最小限に抑えることに焦点をあてたのです。どの国も、大災害の後には政府や業界は機密情報が漏れないように計ります。

しかし日本の行動はほとんど独裁的でした。

 

混沌としたメッセージ

 

政府の正確な情報を共有したがらない姿勢の為、日本国民は事故に関する役立つ情報を、調査している報道陣に頼らざる得ません。残念なことに日本のジャーナリストは政治家と同様に悠長で、起きている事について何もわかっていないのだということが解りました。日本では、福島の現実と国民が考えている虚構のイメージの間に驚くほどの隔たりがあるのです。報道陣はこの溝を埋めるという彼らの役目が果たせませんでした。異例な数人を除く日本のレポーター達は、調査すること、或いは福島に関する厳しい質問をすることを拒んできたのです。ニューヨークタイムズ東京事務所長のマーティン・ファクラー氏は「「本当のこと」を伝えない日本の新聞 」という彼の優れた著書の中で、日本メディアの調査に対する嫌悪と記者クラブ心理について、彼の徹底的な観察を記述しています。

たしかに、政府もメディアの仕事を容易くはしませんでした。いつ現場をプレスに公開するか、いつ事故のビデオをリリースするか等、いつ何の情報が公表されるかをTEPCOが発表するのです。政府による、医療報告の正確さについても疑問視されています。しかし、そうした質問を誰もしない限り、国民は煙幕の裏に残されて半端な真実に則って行動するのです。

 

日本の大衆は福島に関して最も緊要な事を見失っています。日本での、原子力発電を終わらそうとする努力は希望をもたらすものですが、的をはずしています - 抗議は、恐れ、苛立ち、不安の結果なのです。安倍首相は日本が原子力エネルギー依存を続ける方向に進めるでしょう。彼は日本の原発を再起動しようとし続けるでしょう。私が話した全ての政治家の中で、4号基の使用済燃料と日本の子供たちの危険性に関する私のメッセージに対し、最も受容力のなかったのが安倍首相でした。国民が目前にある大惨事を認識するのに、何万人もの子供達の犠牲を待たなければならいとは、悲しいことです。

 

ただひとつのグループも強固な行動をとらなかった事に私は驚いています。日本の精神的なルーツは自然環境に対する敬意にねざしています。日本人の生活の中で神道と仏教の影響は、国の自然の美しさと資源に神聖な重要性を授けました。日本の環境は、いま福島の4つの損傷した原子炉が呈している以上の大きな脅威は、未だかつて経験したことはありません。精神的指導者諸氏(宗教界リーダー)は、この進行中の脅威に国の懸念を再集中させるときにはアクティブになるべきです。

 

私達は十分なことをしているのでしょうか?

 

私達には、日本が福島で進行している問題を取り扱うのに力不足である、ということが見て取れます。しかし、これは単に日本だけの問題ではありません。これは既に、そして今後も、私達全員に影響することなのです。

 

私達は十分なことをしているのでしょうか?

 

私は過去二年間、原子炉4号基で起り得る大惨事と子供達を待ち構える癌の危機について警告してきました。更なる大災害を引き起こす可能性のある、4つの主たる懸念事項があります。

 

1.原子炉1,2,3号基では完全な炉心溶融が起きています。日本の当局も、核燃料

  が圧力容器の底を抜けてメルトスルーした可能性を認めています。この結果、意図

  せざる再臨界(連鎖反応の再開)もしくは強烈な水蒸気爆発へと進展する可能性があ

  るとの観測も出ています。どちらの事故が起きた場合にも、あらたな環境への放射

  性物質の大量放出へと進展する可能性があります。

 

2.原子炉1、3号基からは特に強烈な放射能が発生しており、近寄ることのできない

  区域となっています。そのせいで、補強工事は福島事故発生以来いまだ行われてい

  ません。強い余震にこれらの構造物が耐え得るかどうかは定かではありません。

 

3.損傷した各号基に設置された臨時冷却水パイプは、瓦礫や破片の間を通っています。

  このパイプは防護されておらず、ダメージにはたいへん弱いものです。このため、

  核燃料の加熱を起こす冷却システムの停止にいたって、更なる放射性物質の放出を

  伴う核燃料の損傷や新たな水素爆発、あるいはジルコニウム火災、使用済燃料プー

  ルにおける核燃料の溶融さえも引き起こしかねません。

 

4.原子炉4号基建屋とその骨組は重大な損傷を受けています。総重量1670トンの

  4号基の使用済燃料プールは、地上100フィート(30メートル)の高さにあり

  ます。TEPCOは数年でそ燃料棒を移動させる計画をしていますが、もしまた大地

  震が近くであった場合、数年でというのは遅すぎるかもしれません。もしこのプー

  ルが倒壊したり水が抜けた場合、大放出される透過性放射能でその全域が立ち入り

  できなくなってしまうのです。

 

これらの発電所は、前例にない国際安全保障上の危険を意味します。私はこれを人類文明の問題としてみています。

 

私は起き得る大惨事を過大に見積もっているのでしょうか? 専門家の皆様の計算によると、また大災害が起る可能性は、思っているより遥かに高いようです。

それでは何故私達は自分自身がそんな大きなリスクを犯すことを許しているのでしょう。私達の将来をTEPCOと日本政府の可能性と善意のみに任せるのでしょうか?

 

新たな地震や更なる核燃料の溶融が起きる可能性が福島にあるなら、私は多くの日本人指導者諸氏が私に尋ねたと同じことを、お尋ねしなくてはなりません。

何故アメリカ合衆国は黙って傍観しているのでしょうか?

 

将来の大災害を防止する為に公の措置を取ることは、アメリカ合衆国の利益に関わる事です。大量の放射能が西海岸に到達すれば、私達の食用農産物を破滅させるかもしれないのです。そのような大災害と、引き続いて起る避難の後に起こる地政学的な緊張は、既に難しい関係にある東アジアでの重圧となるかもしれません。私達もまた同様の脅威には弱いのです。類似した大災害がアメリカ合衆国でも、また原子炉または使用済燃料の仮貯蔵所をもつ世界中のどの国でも起りえるのです。

 

今日、400以上の原子力発電所が作動中です。その内の100以上はアメリカ合衆国にあります。幾つかは断層線の近くにあります。幾つかは古くなっています。そして福島4号基のように地上高くに仮の使用済燃料貯蔵所を持つものも24あります。多くは貯蔵所だけです。原子力発電所を建築するのはロケットサイエンスかもしれませんが、冷却システムの機能を維持することは違います。なのに冷却システムはとても繊細で機能不全が起き易い傾向があります。過去に福島で見られたパイプラインの腐食のような単純なことから、核燃料の溶融が引き起こされる可能性があるのです。原子力発電所や貯蔵所を安全保障リスクとして見直す時なのです。原子力安全保障は、大統領が裏からリードすべきような問題ではありません。

 

国際的行動のステップ

 

もし原子力事故がここアメリカ合衆国、或いは他の国で起きた場合、その政府と原発産業界の反応が日本と全く同じようであることは間違いないでしょう。政府や業界は、国家安全保障の為と言って、全ての情報と現場へのアクセスをコントロールすることでしょう。

 

大災害の後に情報を国民から隠す権利は、政府の特権でなければならず想定ではないのです。私達は今、どの程度のアクセスが科学者とレポーターに必要か、どの程度の政府裁量が国家安全保障の為に必要なのか、それを立証しなければなりません。その合意にむけて体制作りが必要です。

 

現在のところ、この責務は調査官にあります。うまく組織されてもいません。大災害のシナリオ以外にあっても、科学者と政治家の連携がとれていません。このことは、ここアメリカ合衆国でも同様に真実なのです! 私は過去2年の間に、国のトップ科学者達が上院議員や下院議員にコンタクトするのに、どんなに苦労するのかを学びショックでした。20年前、私はこの実情には気づきませんでした。

 

独立した科学者、技術者、ジャーナリスト、政治家の間での継続的でオープンなコミュニケーションは、原子力災害に効果的に対応する為には不可欠なのです。

 

私は皆様に、潜在する大災害や国際的安全保障と健康問題についての皆様の懸念を日本政府に伝えて共有するよう、夫々の政府に働きかけをして頂くことを、お願い致したいと思います。

 

最後に、3つの国際的行動の提案をして結びたいと思います。

 

1.      アメリカ、ロシア、ウクライナ、ドイツ、イギリス、フランス、カナダから選ばれた議員のグループによる、福島の実情調査派遣を行う。

  

2.      今後数十年間、放射を絶えず浴び続ける子供達を救う超規的処置をとる為に、ユニセフとWHOにより特別プログラムを設置する。

3.      放射能被爆による疾病を治療する新技術と薬を、核科学者と医師が共同で開発するメカニズムを作る。

昨年、リオ+20において、イギリスのチャールズ王子が気候変動に関して話されました。「最悪の事態が起こった時にだけ行動するのが、おそらく、人間性の特徴なのかもしれない。しかし、その特徴に頼れる余裕は此処にはありません。」と。

彼は福島についても同様のことを言えたかもしれません。

 

あらためて、ヘレンとニューヨーク医学アカデミーが、この会をコーディネイトされた事を称えたいと思います。

 

ご清聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                    翻  訳: 大清水 晶 子

  (中学校英語教員、仙台市)

                                   

翻訳校正: 木 村 道 子

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福島で行動を起こす:潘基文国連事務総長あて公開書簡

潘基文事務総長殿、

あなたは2011年3月11日の福島の災害をきっと恐怖と不安に駆られながらご覧になられたことと存じます。特にあなたの出身地域である東アジアでの別の核災害は、国家関係にとって何を意味するでしょうか。幸いにも、このたびの影響は概して日本列島にとどめられ、多くの専門家の予想ほどではなかったようです。このニュース記事は数週間で主要報道機関からは消滅したとはいわないまでも消散し、そのあとは英雄の記事あるいは最愛の人を失った特に悲劇的なケースの個人的興味を引く記事として復活しただけでした。
しかし危機は終わったわけではありません。本日、マーティン・ファクラー氏は放射能汚染水がプラントから漏れ出しており、現場は緊急事態の新たな段階にあるとニューヨーク・タイムズで報道しました。日本の元駐スイス大使の村田光平氏が昨年書いた書簡は、現場にある数千本の放射性使用済み核燃料棒とその脆弱性がもたらす危険に対して国際的な関心を呼び起こしました。彼は日本の国会で数回にわたってこれを立証しています。

独立した国際専門家および国際原子力機関(IAEA)に所属する国際的専門家は、燃料棒を現場から撤去して、一時的とはいえ、より安全な場所に保管するという東京電力の計画は非現実的とはいわないまでも楽観的だとコメントしています。
燃料棒が提起する多くの問題を報道することにおいて、ニュースメディアは物足りないながらも相当の仕事をしました。放射性燃料が安全であるためには継続して冷却する必要があります。この冷却を維持する急ごしらえの電気システムが何度か故障しました。一度は24時間以上も続き、いずれもシステム自体と空腹のネズミに起因する故障でした。福島第一プラントの安全と火災の間に介在する装置は控え目にいっても当てになるものではありません。(そして、当初から多くの人々に明らかなように、東電は第一に現場の安全と維持管理の責任、第二に日本国に対する費用の支払いという二つの責任を回避したいのです。)

使用済み燃料の火災の重大さの程度については推測するしかありませんが、(冷却水不足あるいは地震による流出のために)ひとたび火災が発生すれば、ベストのシナリオでも未曾有の地球規模の災害となることは議論の余地がありません。起こり得る結果は東京圏の35百万人の避難、日本国土の永久的な使用停止、米国の食用作物の汚染です。これらは空想的な予測ではなく、保守的と言わないまでも合理的な予想なのです。
ところが、考えられないが皆が知っていることは、この状況がいまだに新聞報道において格下げされているため指導者の意識も低いのです。このことから思い出されるのが、私が最初は国連において、その後リオデジャネイロでの地球環境サミットの事務局長として数十年間にわたって参加してきた気候変動の解決に向けた我々の国際的取り組みです。我々にはおそらく解決可能であるが、解決しようとする決断と政治的意思に欠ける潜在的だが極めて深刻な問題があります。ご存じの通り、気候変動に関する合意は日の目を見ませんでした。気候変動と比べれば、福島の放射性燃料棒の問題は解決しやすくまた緊急を要します。深刻な地震が再度発生すれば、次の10年間を優に越えて日本に打撃を与えると日本人なら誰もが言うでしょう。つまり、この状況を早く解決しなければならないということです。
解決が可能だとしても、この問題は常に注意を払うことと有能で資金力のある当事者が必要になります。誰がそれを引き受けるのでしょうか。IAEAは先週、東京電力が放射性燃料棒をより適切な貯蔵容器に確保するには40年かかると言いました。東京電力は数十億円の除染費用の日本への支払いをすでに拒否していますし、その作業を的確かつ適切に行うための技術も必要な資金も持っていません。けれども、日本政府はこれまで東電を頼みするだけでした。
日本以外で次に明白な選択肢は技術的優位性、資金力、リーダーシップという点で米国です。事故後の早い時期に米国防省は日本に支援を申し出ましたが、日本はそれを断りました。そのドアは永久に閉ざされたものかはまだ分かりません。これは善意ある行動ではありません。燃料プールの火災が発生したら米国は危険な状況に立たされます。カリフォルニア、オレゴン、ワシントンの住人はすでに多量の放射線を浴びています。おそらくオレゴンの上院議員ロン・ワイデンによる以外の米国主導の行動は考えられません。米国の上下両院議員は引き続き国の内外で彼らの無気力を示しているのです。
私は独立専門家からなる国際チームによる実態調査を長い間主張してきました。国際連合はそのようなチームを編成し派遣するひとつの適切な機関です。しかしIAEAはその責任を引き受けるべきではありません。
IAEAの使命は核エネルギーの平和利用を推進することです。拡散の懸念はここでは当てはまりません。災害それ自体がまさに核エネルギーの平和利用が何を意味するのか、そしてそれは推進されるべきかという疑問を(再度)を投げ掛けているのです。最近、IAEAは福島の安全性を向上するように強く要請しましたが、公式見解ではいまだに東電を使ってその作業を実行するという考えですが、それは不正確でありまた不可能です。

私たちはより大きな災害を待っているだけではないのです。ひとつはすでに私たちの前で展開しているのです。放出された放射線による健康上の影響は甚大です。主要報道機関が何を報道していようと、日本では甲状腺などのがんがこの4~5年で大幅に急増するでしょう。先天性奇形が発症する可能性もあります。一部の国連機関と報道機関全体の時期尚早の報道は無責任です。わたしたちは予防措置の意味を何も考えないのでしょうか。こうした潜伏効果が10年以内に日本の多くの年少人口に障害をもたらすでしょう。
我々の近視眼的な姿勢は、日本においても国際的にも悲惨です。一つの明るい点は国連特別報告者アナンド・グローバー氏による昨年の日本への事実調査ミッションでした。私はあなたが彼の調査結果を支援し、それを広く伝えることを希望します。
気候変動と同じように、福島の件で国際的な行動を取るまでに時間がかかりすぎました。しかし今や、我々全体に影響をおよぼす可能性のある問題を日本が処理することを容認できないことは明らかです。

潘基文事務総長殿、わたしは、あなたが国際連合のトップという特有な立場を生かして政治的意思を駆り立て、我々が「待つ」選択をしなければ日本と世界がさらに苦しまないですむ、別の災害の予期しない影響を考慮に入れざるを得なくなる前に、福島の放射性使用済み燃料棒の問題の解決のために、国際的な科学者および技術者からなる独立評価チームを組織されることを強くお勧めいたします。

松村昭雄
‐元国連開発計画特別顧問
‐人類の生存に関する精神指導者および議会指導者の世界フォーラムの創設者。
‐1992年リオデジャネイロ地球サミット議員会議事務局長
                      
(日本語訳は私の大学時代の友人山本徳光氏によるものです。)… Continue reading

An Open Letter: Why I Support Akio Matsumura, and Why You Should Too / (公開書簡) 福島第一原発危機:松村昭雄氏への皆様からのご協力お願いとその理由

Last week I received this letter of appraisal from Ms. Michiko Kimura, whom I have known for many years. I publish it here with great humility and appreciation. Yours truly, Akio.

 

Read in Japanese and German.

 

I had the opportunity to work with Mr. Akio Matsumura when I was working as the Assistant in Charge of International Relations for the late Hon. Takashi Sato, MP, and as the Chief of the Secretariat of the Japan Parliamentarian’s Association on Population and Development which was headed by the  late Former Prime Minister Takeo Fukuda. I have cooperated with him since then because of my great respect for his outstanding ability to achieve his goals and for his concept toward achieving international peace.

Mr. Matsumura’s most remarkable talent is demonstrated when he establishes networks and connects on an individual level with eminent people. He has forged relationships with experts and leaders in fields including politics, economics, science, religion, and medicine, without being a member of an organization which could influence his work and principles.  Furthermore, he has made it possible to bring together groups in conflict over ideologies and interests, in order to discuss issues and find solutions.  To capitalize on his remarkable talent for developing peace internationally, the Board of The World Business Academy of the United States established a Chair Position for Mr. Matsumura in 2005.

The danger which has arisen from the disaster at the Fukushima Dai-Ichi Nuclear Power Plant is a matter of utmost significance, with the possibility of gravely affecting the destiny of the Japanese people and the global community.… Continue reading